【ア行】
煽る(あおる) ゲートが開いて走り出すとき、後ろ脚の蹴りが強すぎて、立ち上がり気味にスタートすること。スタートで置かれる分、不利になる。
アウトブリード 異系交配のこと。父系、母系をさかのぼっても、5代前までに同一馬が交配されていない場合をいう。血が濃くなりすぎるのを避け、別の系統の血を入れて活性化させることを目的とする。
垢抜けた馬体 均整がとれた理想的な体形をいう。前駆と後駆がバランスよく発達し、体長と体高はほぼ正方形を示し、首は太すぎず、細すぎず、バランスのとれた体形をさしていう。
上がり馬 下級条件を短期間のうちに連戦連勝して上の条件まで上がってきた馬のこと。
上がり時計 ゴールから起算して計った時計。上がり3ハロンが最も注目される。
脚抜きがいい 水を含んだダートコースで、砂がしまって走りやすいこと。
脚元がパンとする 脚が丈夫になること。または脚の故障がすっかり治ること。ソエを痛がったり、捻挫をしたりしていた馬を無理に走らせると、さらに悪くなる恐れがある。そういう不安がなくなり、十分調教もでき、レースにも万全の状態で出られるようになったことをいう。
脚を余す ゴール前で前が詰まったり、仕掛けるタイミングが遅れたりして、全力を出し切らないうちにレースが終わってしまうこと。
併せ馬 調教で2頭以上の馬を並んで走らせること。併走させることによって、闘争本能を引き出す効果がある。
いい脚を長く使う 決め手に近いスピードを一瞬ではなく、長く継続できること。
息を入れる レースの途中でペースを落とし、力を温存すること。
一杯追う 手を動かしたり、ムチを入れたりして、全力疾走させること。
イレ込み 馬が興奮しすぎて落ち着きを失った状態。気負いすぎると無駄に体力を消耗するし、冷静さを欠いて実力を出し切れないことが多い。
インブリード 近親交配のこと。父系と母系の血統をそれぞれさかのぼると、5代以内に同一馬が配合されている場合を指す。その血統が持つ長所を引き出すことを目的として行う。ただし、逆にその血統の持つ弱点が強くあらわれてしまい、馬体や気性などに難のある馬が産まれる可能性もある。
馬込み レース中に馬がかたまって馬群ができ、ひしめきあった状態。
馬なり 手を動かしたりムチを入れたりせず、馬の気分に任せて走ること。
上積み 前のレースと比べて、馬の状態が良くなること。「上積みがある」といえば、前走よりも体調や精神状態が充実したことをいう。
大駆け 冴えない成績が続いていた馬が、これまでとは一変して好走すること。
追って味がある 最後の直線で追われてからの伸びがしっかりしていること。
大跳び 一完歩の歩幅が大きい走り方のこと。このタイプはスピードに乗ると力が発揮できるが、一般的に器用さが欠け、小回りや道悪の馬場は苦手とされている。
置かれる 馬群から大きく引き離されてしまうこと。「テンに置かれる」とは、出遅れなどのため、発走直後に大きく遅れることを意味する。
お手馬 出走のたびに同じ騎手が乗る馬を、その騎手のお手馬という。
親子どんぶり 同一馬主、あるいは同一厩舎の馬が1つのレースで1着、2着を独占すること。


【カ行】
格付 競走馬の収得賞金によるクラス分けのこと。
ガサ 馬格のこと。小柄な馬を「ガサのない馬」といった表現をする。
勝ち得 南関東の格付け編成は1開催ごとに番組会議で決定する。そのため好走して収得賞金が条件の枠を突破しても、番組会議が実施されるまでは同じ条件の中で走ることができる。その有利さを勝ち得と表したわけだが、その分1〜2キロ増量される。連闘で使ってきた時に勝ち得になる場合が多い。
勝ち負け 確実に上位争いをすると予想されること。
勝ち味に遅い 掲示板に載る(5着以内に入る)などの好走はするが、決め手に欠けて勝ち切れないこと。
ガラリ一変 休み明けを一度使われて著しい変わり身がみられること。
がれる 必要以上に痩せること。細くなること。力が発揮できない場合が多い。
管骨瘤 前脚の管骨の上部にできる骨のコブ。
気のいいタイプ 性格が素直なこと。騎手の指示によく従うため、調教がしやすく休み明けでも走る馬が多い。
決め手 勝ち切るための脚力のこと。
競走中止 発走後、レースを途中で中止すること。馬券は変換されない。
近親 母馬を基準に、血統の近い親族のこと。一般的に母の姉妹の産駒、母の母(祖母)の産駒、母の母の母(曾祖母)の産駒などを近親とする。
口を割る レース中に馬が口を開くこと。引っかかった時にみられる。
屈腱炎 前脚の管骨の後ろにある屈腱に起こる炎症のこと。一度かかると完治は難しいとされている。炎症を起こして腫れた部分がエビに似ていることから、エビハラやエビと言われる。
首を使う 走る時にフットワークに合わせて首を上下に動かすこと。上手に首を使うフォームは無理なくスピードに乗ることができる。
稽古駆け 調教でよく走る馬のことをいう。レースでは冴えない成績でも稽古だけはよく動く馬もいる。
血統表 サラブレットの戸籍を表にしたもの。父、母、母の父を基本に、5代前までの合計62頭の祖先を記した「5代血統表」が一般的だ。
降着制度 レース中に進路妨害があった場合の処置を定めたルール。(1)加害馬が被害馬より先着または同着の場合、加害馬は被害馬の次に降着。(2)被害馬が加害馬に先着した場合は到着順位通り。(3)被害馬が加害馬による妨害が原因で競走中止や失格になった場合、加害馬は失格。その妨害以外の原因で中止や失格になった場合、加害馬は最下位。(4)被害馬も加害馬に対して妨害行為を行い、双方に加害・被害がある場合には、到達順位通りとなっている。
午後乗り 普通は朝に追い切りをするが、馬場の凍結などの事情により午後に追い切りをすること。
コズミ 人間でいう筋肉痛の状態で、筋肉が凝って動かすと痛く歩き方が硬くなってしまう。


【サ行】
再調教試験 レースで枠入りを嫌がったり、スタートが開く前に飛び出したりした時など裁決委員などに指示をされた場合に受けなければならない試験。合格するまではレースへは出られない。
ささる コースの内側へ斜行すること。最後の直線などで追い出した時に、この癖を出す馬が多い。
挫跖 蹄にできる血豆のこと。石など硬いものを踏んだりすることで起こる。
シャトルスタリオン 北半球と南半球では種付けシーズンが違うため、北半球の春に北半球、秋に南半球に移動して種付けを行う種牡馬のこと。
シャドーロール 馬が自身影を怖がるなど、足元を気にして集中力を欠く場合に装着される。首が高い馬のフォーム矯正のためにも使用されることもある。
15―15 調教で1ハロン15秒のペースで走らせること。このペースはかなりゆっくりしたもので、脚慣らし程度の調整。
ジリ脚 決め手に欠けて、レース全体を通して平均的なスピードでしか走れないこと。このタイプの馬は先行してジリジリ粘るようなレースをするので大崩れはないが、勝つまでには至らず2、3着になることが多い。
進路妨害 レース中に斜行などをして、他馬の進路をふさぐこと。騎手は制裁処分を受け、場合によっては降着や失格になる。
スパイラルカーブ 小回りコースでは4コーナーでスピードが上がった時に外に振られる場合があり、その不利を少しでもなくすために馬場の内外に高低差をつけたコース。南関東では船橋競馬場が、この形態である。
ズブい エンジンのかかりが遅い馬のこと。反応が鈍く、騎手が追っていないとスピードが上がらず、置かれてしまう。
疝痛 腹痛のこと。
総合調教試験 休養期間が1年以上の馬が受ける調教試験。南関東では原則として総合調教試験の合格馬は所属競馬場において出走しなければ他の3場の出走できない。(A級格付馬は番組編成委員が認めた場合のみ出走できる)
ソエ 管骨骨膜炎のこと。向こうズネともいう。若馬の化骨が進む前に、強い調教を始めようとすると発症する炎症。
外枠発走 ゲート内で立ち上がったり、暴れたりして他馬に悪影響を及ぼすと認められる場合、あるいは発馬前にゲートを飛び出してしまった場合などに一番外側の枠にまわされること。ひと枠あけて入れられることもある。
ソラを使う レースや調教中に馬が突然走る気を失ったり、全力で走らなくなったりすること。差し、追い込みタイプの馬が、最後の直線で早目に先頭に立つと、前や横に馬がいないため気を抜いてソラを使うケースがある。


【タ行】
叩く レースを使う、馬体を仕上げること。「休みあけを叩く」、「一度叩く」といった表現がある。
他馬を怖がる 競ったり、馬込みにモマれたりして戦意を失ってしまうこと。若い馬や気の弱い馬の場合、他馬がそばに来ただけで神経質になってしまい、全力で走らないことがある。
中団 レース中の位置取りで、真ん中あたりの馬群を指す。
調教試験 南関東では4ヶ月以上休んだ馬や他地区から転入してくる馬などは調教試験を受けなければならない。制限タイム以内で走れなければ不合格となる。調教試験を嫌い、仕上がりが万全でなくても休養が4ヶ月以上になる前にレースを使う厩舎もある。つまり4ヶ月ギリギリで使ってきた場合、実力馬でも疑ってかかる必要がある。
使い減り 使い込んだため体力を消耗して、次第に体調を落とすこと。小柄な牝馬に多い。
強目 軽く手綱を動かし馬の反応をみる。
鉄砲 休養明けで使うこと。「鉄砲をポンと撃つ」から生まれたといわれている。「ポン使い」、「ポン駆け」ともいう。
手前を替える 馬にも右利き、左利きといった利き脚がある。利き脚を手前にしたほうが走りやすく、スピードにも乗れる。ただ、手前にする脚は負担がかかるため、一方の脚ばかりを手前にするとバテやすくなる。コーナーを回る時は右回りなら右手前、左回りなら左手前で走らないとスムーズに回れず、馬群に置かれたり外へ膨れたりしてしまう。
出ムチ スタートダッシュを利かせるため、スタート直後にムチを入れること。
テン 「最初」や「前半」という意味でレースの走り出しの部分を指す。「テンが速い」などという。
転入馬 他地区から移籍してきた馬。それまで稼いだ賞金によって格付されるため、賞金の安い地区から移籍してきた馬は一般的に有利とされている。道営所属馬はオフシーズンに南関東などに移籍して、シーズンが始まれば戻る場合がある。
テン乗り 騎手がその馬に初めて乗ること。
道中 レースの途中のこと。「道中の行きっぷり」、「道中で楽だった」などという。
トラックマン 厩舎に話を聞いたり、調教時計を取ったりする現場の取材記者。TMと表記される場合が多い。


【ナ行】
ナイラ 風邪のこと。発熱、咳、鼻水などの症状が起こり、元気がなくなる。
長手綱 手綱を長く持ってゆるめること。馬と折り合いをつけるときに長手綱にする。逆に手綱を短く持つと手綱をしぼることになる。手綱は馬の口中にかませてあるハミとつながっているので、手綱をしぼればハミが引っ張られて奥歯にかかる。こうなると馬は本気で疾走する。だから、本気で走る必要がないときは長手綱にして折り合いに専念する。
生ズルい 騎乗者の指示になかなか反応せず、激しく追ってようやく本気で走る馬のことをいう。
二走ボケ 休み明けで好走した馬が、次の2戦目で凡走すること。休み明けで目一杯走ると、その疲労残りが尾を引きやすみため起きる。
ニックス 肌馬と種牡馬それぞれの父系血統について、組み合わせの相性をいう。より優れたニックスが求められ、すでに理想的な組み合わせが確立されている。
二の脚 逃げ・先行馬はスタートダッシュで一度速い脚を使っているが、ゴール前で追われると更にひと伸びすることを「二の脚を使う」という。また、スタート直後の1完歩目は普通だが、2完歩目、3完歩目が速く、すぐにスピードに乗ることを「二の脚が速い」という。
主取り(ぬしどり) せり市場で、お台で声が掛からなかった場合は、売り主が引き取るという意味で呼ばれている。
熱発 馬が発熱すること。馬の平熱は38度くらいである。
捻挫(ねんざ) 関節をささえている靭帯が伸びたり、その一部分が切れたりした状態。治っても関節の動きが硬くなり、脚力が衰えることがある。
能力試験 デビュー前に行われる審査。制限タイム以内に走れなければ不合格となる。
ノド鳴り 正式な名称は喘鳴症。喉頭口の神経が麻痺し、そのため喉頭口が狭くなり呼吸とともにヒューヒューという音がする病気。呼吸困難を起こすこともあり、競走能力に影響することが多い。冬場の空気が乾燥した時期には喘鳴が出やすく、逆に雨が降って湿気が多くなると症状がやわらぐ。
のめる 雨のためぬかるんだ馬場で走っている時に滑ってしまうこと。


【ハ行】
バカつく 馬が騎手の指示に従わず、内や外に大きく斜行したりすること。ひどいときは走るのをやめてしまう。
歯替わり 乳歯から永久歯への生え替わりで、2歳の暮れから3歳の春先に始まる痛みで食欲減退とか、ハミ受けに影響が出るケースもある。
跛行(はこう) 脚部に故障を発生し、ぎこちない歩様をみせること。
走る気をなくす レース中に他馬と接触するなど、何らかのきっかけによって全力で走ることを放棄してしまうこと。
発走除外 集合合図がかかってから発走するまでの間に馬体の故障などにより、どうしても枠入りできない場合に除外すること。馬券は返還される。
ハナ 先頭を意味する。「ハナを切る」ということは先頭に立って逃げることをいう。
馬場見せ 初めて走るコースを事前に馬に見させておくこと。南関東では所属以外のコースの重賞を使う前などに馬場見せをする場合が多い。
ハミ受け 騎手は手綱を引いたり緩めたりして、馬が口中にかんでいるハミを動かして指示を出している。馬がハミをかまず、騎手の指示に従わないことを「ハミ受けが悪い」や「口向きが悪い」などという。
ハロン 1マイルの8分の1.正確には200・1メートルだが、現在は諸外国同様に200メートルで表示。
鼻出血
(びしゅっけつ)
鼻血が出ること。鼻出血を起こすと呼吸が妨げられるので走ることができない。
飛節(ひせつ) 馬の後ろ脚の大きく屈曲した部分。人間の足首にあたる。
ピッチ走法 跳びを小さくするかわりに、脚の回転を速くしてスピードを上げる走り方。小柄な馬に多い走法で、一般的に道悪馬場を得意にしている。
引っ掛かる 馬が騎手の指示を聞かずに走ってしまう状態。スタミナを消耗してしまうため、バテてしまう場合が多い。
フケ 牝馬の発情のこと。発情すると集中力を欠いて凡走するケースが多い。
ブリンカー レース中によそ見をしたり、他馬を怖がったりする場合、目の後ろに覆いをつけて視野を遮り集中力を高めるためのもの。効果は馬によって差がある。本紙の出馬表では「B」で表示している。
フレグモーネ 皮下組織に発生する急性の化膿症。傷口や毛根部から侵入した細菌に感染して腫れ上がる。
ペース レースの流れ。前半と後半の走破時計を比較し判断する。一般的にHはハイペース、Mは平均ペース、Sはスローペースとされている。
放馬(ほうば) 馬が騎手を落として、そのまま走り出してしまうこと。


【マ行】
前残り 逃げ・先行馬がバテることなくゴールまでそのまま残ること。
まくる 3〜4コーナーで先行馬を一気に抜いて直線で粘る乗り方。
実が入る 馬に力がつき、馬体が充実してくること。成長し、本格化してきたことを表す場合にも使われる。
マルタンガール 頭の高い馬に対して用いる馬具。腹帯と頭絡や手綱とを結び、頭が上がらないようにする。
未受賞競走 地方競馬は5着までの本賞金がすべて収得賞金になる。そこで5着までに入着したことのない馬が出走する競走として未受賞競走が組まれている。
ムラ駆け 好走した次のレースで惨敗したり成績が安定せず、いつ走るかわからないこと。
持ち時計 その馬が過去に走った同距離のレースで最も速い走破時計。
モタれる まっすぐに走れず内または外にバランスが崩れ、ゴール前の接触などでは目一杯に追えないことがある。
持ったまま 手綱を動かしたり、ムチを入れたりしないで手綱を絞った状態。
物見 臆病な馬は慣れないものを不安になる。その時に立ち止まって見たり、キョロキョロしたりして落ち着きがなくなること。
モマれる 道中で馬群の中に入ること。こうなると恐怖心や嫌気を覚えてしまって一生懸命走らなくなる場合がある。こういった場合、「モマれ弱い」という。


【ヤ行】
安目を売る 出遅れたり、煽ったり、他馬に寄られたりして、スムーズにスタートが切れなかった時に使う。
家賃が高い 賞金額が増えて上級条件に出走するようになった馬が、そこでは相手が強くて通用せず入着さえ難しくなった状況をいう。
誘導馬 出走馬を誘導する馬。騎乗合図とともにパドックに出てきて、出走馬の先頭に立って本馬場まで誘導する。芦毛馬が多く、引退した競走馬が務めている。
予後不良 故障の度合いがあまりにもひどく、再起不能と診断された状態。馬運車で競馬場の出張馬房に運ばれて薬殺される。重傷で馬運車にも乗れない場合は、馬場内にテントを張って薬殺される。
ヨレる コースの外側へ斜行すること。4コーナーや最後の直線で、馬がバテてヨレることがある。


【ラ行】
落鉄 蹄鉄が外れてしまうこと。
落馬 レースや調教で馬がつまずいたり転倒したりして騎手が落ちること。
ラチ コースを仕切る柵。内側の柵を内ラチ。外側の柵を外ラチという。
裂蹄 蹄がひび割れること。空気が乾燥する冬に起きやすい。
良血馬 血統のいい馬のこと。父馬である種牡馬が優秀な産駒を数多く輩出しているとか、母馬である繁殖牝馬の競走成績が良い、あるいはその産駒(兄姉馬)が大レースを勝っているなど、父母の血統が良いとされている馬。また母系に好成績を上げている馬が多くいる場合も良血とされる。


【ワ行】
ワタリを編む 長い毛糸の束の先にボンボンがついたもの(ワタリ)で、たてがみを結うこと。たてがみを結うとレース中に騎手の顔や目にふれたり、手綱にからんだりして邪魔になることがないし、装飾的な意味合いもある。
輪乗り スタート前にゲート後方に集合した馬が、枠入りの合図がかかるまで歩きながら待機すること