2016年の地方競馬で活躍した競走馬及び厩舎関係者を表彰する「NARグランプリ2016」が、
2月2日(木)東京・目黒の目黒雅叙園『舞扇』において行われた。
表彰馬部門では、年度代表馬に輝いたソルテ(大井)をはじめ、
ダートグレード競走特別賞馬に選ばれたコパノリッキー(JRA)など、
各馬の関係者に記念のトロフィーが贈られた。
地方競馬の優れた人材を顕彰する表彰者部門では、
森泰斗騎手(船橋/最優秀勝利回数騎手賞・最優秀賞金収得騎手賞)、
小久保智調教師(浦和/最優秀賞金収得調教師賞)など、
2016年の地方競馬を象徴する豪華な顔ぶれが一堂に会した。


共同会見の様子

最優秀勝率調教師賞
川西毅調教師(愛知)

−2年ぶり4回目の受賞おめでとうございます。今の気持ちをお聞かせください
「素直に皆様に感謝しています」

−一昨年年と昨年の違い
「昨年は自分ではそんなに良いという実感はなかった。年度が始まって1月から3月まで勝てない時期が続いたので…。連勝してくれた馬がいたので、それからペースが上がってきた。 その馬を預けて下さった馬主さんにも感謝しています」

−南関東で初の重賞制覇の気持ちは?
「感無量ですね。(ゲート後の待機している)車の中でゴール前は騎手の名前を叫びまくっていた。周りがビックリするぐらいぐらい力が入った」

−所属の加藤騎手(最優秀新人騎手賞)について
「僕の力ではなく周りの厩舎の方に良くしてもらった。この場を借りて、加藤を勝たせてもらった調教師の先生方にお礼を申し上げます」

−今年の目標を聞かせてください
「またピンクドッグウッドみたいな 馬で 南関東の重賞を勝てたら嬉しいですね。
これからドンドンそういう馬を育てて、重賞の舞台に立てたらなと思います」

−今年の最優秀勝率調教師賞は誰になるでしょう?
「僕ではないと思いますね(笑)2年連続で取ったことがないので」

最優秀勝率騎手賞・ベストフェアプレイ賞
山口勲騎手(佐賀)

− 受賞の気持ちから聞かせてください
「受賞はもちろん嬉しいですが、フェアプレイ賞は知らなかった。

−トップにいる秘訣は?
「大事に乗るだけ。数字はあまり気にしないようにしている」

−気になる騎手はいますか?
「自分が年配になったので 若手が大分…。マダマダ頑張りたいとは思う」
−ー今年の目標は?
「フェアプレイ賞が二年連続獲れたので、ひと鞍ひと鞍を大切に乗りたい」

殊勲騎手賞
永森大智騎手(高知)

−今の気持ちから聞かせてください
「まさか自分がこういう賞を頂いて、こういう場所に来れると思っていなかった。乗せて下さった関係者の皆様に感謝します」

−スーパージョッキーズトライアル、盛岡が終わった時点で8位でした
「まあ予想通りと言いますか…そんな上位になると思ってなかった。名古屋では自分のレースができるように気持ち的にも楽な立場でいられたと思います」

−名古屋で2つ勝ちましたね
「ポイントとかは気にしていなかったのでどうなのかなと。レースから上がってきたら教えていただいたのですごくビックリしました」

−ワールドスーパージョッキーシリーズ、4戦目で勝利を挙げました
「やっぱり二日目はエキストラ騎乗もさせて頂いてたので、初日よりも気分的にも楽に乗れましたし、最後は悔いの残らないレースをしようと思って。それが花開きました」

−高知に帰ってから何か変わりましたか
「生活とか特に変わりません」

−高知のリーディングについて
「本当に馬主さんや調教師の先生方のバックアップのおかげです。周りの方に感謝しています」

−今年はいかがですか?
「今年はちょっとリズムが悪いので、勝率よりも自分のリズムを取り戻したい」

−気になるジョッキーは?
「次入ってくる方(赤岡騎手)じゃないですか(笑)」

特別賞
赤岡修次騎手(高知)

−高知の騎手で初の地方通算3000勝。今の気持ちから聞かせてください
「実感はあんまりないんですが…。あんまり数字にはこだわってないので。こういう賞をもらうと3000勝したんだなと実感します」

−表彰を受けるのはどんな気持ちですか?
「久しぶりで緊張しています」

−視点がグローバルになってきた理由は?
「最初は南関東で期間限定で乗らせてもらっていて、あそこまで勝たせてもらえると思ってなかった。 結果が出ると他からも依頼が来るようになったので」

−永森騎手はどうですか?
「やっぱり若い人が出てこないと。僕が2カ月空けたのに、また帰ってきたのにそのままリーディングだとやっぱり盛り上がらない。(若手が伸びるのは)良いことだと思いますね」

−2007年から特別支援学校の生徒を舞台観劇に招待。ボランティア活動への思いとは?
「何か自分ができることがないかと思っていた。2007年ワールドスーパージョッキーズで総合3位で賞金も頂いたので。何かできることはないかと思って そこから始まった。もう10年で500人以上の方を招待していて、お礼の手紙とかもらうとやっぱり嬉しいし、活躍する限りは続けていこうと思う」

−今年はどんな戦いに?
「たくさん重賞にも呼んでもらってますけど、重賞を勝ってはいないので…。何とかひとつ勝ったらちょっと変わってくると思う。難しいですけどひとつ勝てるように頑張りたい」

優秀女性騎手賞
木之前葵騎手(愛知)

−今の気持ちから聞かせてください
「2年連続で優秀女性騎手と言われて本当に嬉しいです」

−昨年を振り返っていかがですか
「前の年の勝ち星を上回ったということはとても嬉しい。今年も呼ばれるように頑張ります」

−重賞初制覇はどんな感じでしたか
「カツゲキキトキトはすごい能力のある馬なので、先輩には普通に乗れば勝てると言われたんですけど、やっぱり重賞だと気持ちがのしかかってきて凄く緊張しました」

−騎乗する上での課題
「やっぱり馬が頑張って走ってくれるので、乗ってるジョッキーがいい扶助を送れるように上手くなりたいです」

−良くなったところは
「まだまだ先輩にたくさん怒られながら乗ってるんですけど、馬を動かすのは多少良くなったんじゃないかと思います」

−体調維持とか大変だと思いますが
「乗ってる頭数が多いので、普段から姿勢を気をつけて馬が真っ直ぐ乗れるように普段から筋トレをしたりとかしています」

−レディスヴィクトリーラウンドについて
「高知はポイント2倍らしいので、巻き返しは十分あると思います。水沢の鈴木まゆゆ(麻優)勝ちたい」

−今年の目標は?
「幸先の良いスタートを切れたんですが、まだまだ先輩達に怒られることも多いので。完璧なレースを普段からできるようにしたいです」

特別賞
宮下瞳騎手(愛知)

−特別賞おめでとうございます。今のお気持ちを
「ありがとうございます。この場に居られることが本当に嬉しいです」

−出産を経ての復帰
「出産後、身体の筋肉が脂肪に変わっていたりして、脂肪を筋肉に戻すのが大変でした。体重も増加していたので落とすのも大変でした。ピーク時は60kgまでありました。ランニングしたり、水泳に行ったりして落としました」

−復帰戦は8着でしたがいかがでしたか
「本当に気持ち良かったというか…結果は良くなかったが本当に嬉しかったです」

−復帰後11戦目で初勝利
「メチャクチャ嬉しかったです。復帰して良かったとすごく思いました。息子達に勝つところを見せることができたので嬉しかったです。大きな声でおめでとうと言ってくれました」

−成績については満足ですか
「満足以上の結果で関係者の方々に感謝しています」

−レディスヴィクトリーラウンドは3位ですね
「ちょうど中段にいるので、高知で大逆転を狙いたいと思います。やっぱりここぞという時に最年長の意地を見せて頑張りたいと思います」

−今年の目標
「騎手としての目標は700勝を今年中に達成できたらなと思います。主婦としての目標は子供といる時間が少なくなっているので、一緒にいる時間は寂しい思いをさせずにたくさん遊んであげようかなと思っています。主婦としての目標はお互いを支え合っていけたらなと思います」

特別賞
武豊騎手(JRA)

−特別賞受賞おめでとうございます。今の気持ちは?
「名誉ある賞を頂けて嬉しく思っています」

−100勝の中で印象に残っているのは
「周りから100勝目だよって聞いて、100も勝っていたのかと素直に嬉しく思いましたし、どれも嬉しいです。あんまり実感がないんですけど、沢山良い馬に乗せてきてもらってきたという感じですね」

−一番難しかった競馬場は?
「川崎ですね(笑)昨日(川崎記念)勝って今日ここに来たかった。中央でも地方でも海外でも特別な意識を置いてるというわけではない。いつも同じような気持ちでどこでも乗っているつもりです」

−競馬全体に対して思っていることがあれば
「売り上げが伸びていること実感があります。もっともっとファンが増えればいいなと思っています。そのファンが増えていることに応えていかなきゃいけないのでいいレースをしたい」

−今リーディング2位ですが?
「まだ始まったばかりですので。当然リーディングは獲りたいですよね。いい馬に乗せてもらっているのでそれに応えていきたい」

最優秀勝利回数騎手賞・最優秀賞金収得騎手賞
森泰斗騎手(船橋)

−2年連続で2冠おめでとうございます。お気持ちは?
「嬉しく思っています。自分自身で設定した目標を追いかけていたら、この結果に繋がったと思います」

―年間309勝については
「自分で300勝したいと頑張ったので、ホッとしています。結構大変な思いもしました」

―全国リーディングについては他の人の数字を意識されていましたか?
「昨年は早い段階から抜け出してしたので、周りはあまり意識しないで、自分の目標とする300勝を目指していました」

―昨年の目標で唯一達成できなかったとすれば東京ダービー制覇ですか?
「そうですね。今年の大きな目標のひとつです。春に向けて勢力図も変わってきますし、狙えるような馬に指名されるような騎手でありたい」

―賞金トップについては
「賞金の高いレースで勝てる馬に数多く乗せて頂いたことに尽きると思います」

―年間レース数も多いですが、自己管理で気をつけていることはありますか?
「自分のリズムを守った生活は心掛けています。欠かしていないのは、寝起きにヤクルトを飲むことです。食事の面でも気を遣っています」

―ライバルはいますか?
「特にいませんが、上手だと思う方はたくさんいます。武豊さん、同期の戸崎、横山典弘さん…地方でも吉原、真島、矢野、それぞれにいい面があると思います。それぞれのいいなと思う所を見習って自分なりに取り入れようとしています」

―最後に目標をお願いします
「東京ダービーや交流重賞は視野に入れていきたいと思っています。昨年は数字に追われて苦しんだ時期もあるので、あまり数字には拘らず自然体で1年過ごしたいと思っています。1頭1頭と向き合って、それで結果としていい成績をあげられればいいですね。いい仕事ができればと思っています」


年度代表馬・4歳以上最優秀牡馬・最優秀短距離馬
ソルテ(大井)
寺田新太郎調教師

―年度代表馬受賞おめでとうございます。今のお気持ちは?
「嬉しいですし、ソルテに感謝しています」。

―2015年春から重賞6戦を含む7連勝の快進撃。何か変わったと感じたことはあったのでしょうか?
「連勝前のフジノウェーブ記念の時にゲート内で蹴る仕草を見せまして、これまでこんなことなかったので、レース後に担当者や調教をつけている上田騎手と話しをして追い切りのローテーションを変えたのがいい方に向いてくれました」

―さきたま杯でダートグレード勝利となりましたが、レース前の心境は?
「心臓バクバクでしたね。勝ったのが分かった時は感無量でした」

―期待されていたJBCでは残念な結果になってしまいました。
「JBCは進路が狭くなるシーンもありましたし、厳しいレースとなってしまいました。レース後に骨膜炎を発症していたこともあり、結果としていつものソルテとは言えなかったです。現在は3月に行われるフジノウェーブ記念に向けて調整しています」

―話は遡りますが、ソルテとの出会いの頃のことを聞かせて下さい
「デビュー前は船橋にいたのですが、ウチに来ることになりまして、最初の印象は普通の馬だなぁという印象でした。ただ、船橋の調教師さんからは『この馬は走る』と言われていたんですよね。デビュー当初は線の細さもありましたが、つかいながら徐々に体も増えて50キロ以上成長してくれました」

―最後に今年の目標を聞かせて下さい
「ここまで活躍すると斤量面でも背負わされてしまうので、一戦一戦が大事になると思っています。個人的には昨年2着で悔しい思いをした、かしわ記念にもう一度チャレンジできたらと思っています」

吉原寛人騎手

―寺田調教師の話の中にあった連勝中のお話になりますが、騎乗していて変わってきたなと感じることはありましたか?
「最初に乗せてもらった時は重賞でも入着までで、ひとつ大きなところを勝てれば変わるのではないか、あとワンパンチなにか後押しがあればと感じていました。連勝の始まりとなったオープン特別を勝ったあたりから変わってきたなと感じ、その後はガラッと変わってくれました」

―かしわ記念を振り返って下さい
「戦前から凄いメンバーが揃っていましたが、負ける気がしないくらいの信頼をソルテと築いていましたし、勝ちに行く競馬をしました。コパノリッキーは強かったですが、交流重賞でも勝てると手応えを掴めた一戦となりました」

―そして、さきたま杯で交流重賞制覇となりました
「JRA勢の有力馬とは斤量差がありましたし、ソルテの得意とする浦和コース。ソルテらしいレースをして、強い競馬を見せられたと思っています」

―吉原騎手は地元以外でも全国各地で活躍されています
「南関東で乗せてもらえる機会が増えて、いろいろ制度も変わってきましたし、何より年度代表馬になるような素晴らしい馬に乗せてもらえてありがたいですし、感謝しています」

―最後に個人としての目標を聞かせて下さい
「昨年も多くの有力馬に騎乗させてもらえましたが、なかなかG1Tには手が届かなかったので、今年こそは夢をかなえたいと思っています!」


最優秀賞金収得調教師賞
小久保智調教師

―3年連続で5億円超、3回目の受賞おめでとうございます
「この賞は自分の力ではなく、馬を預けてくれるオーナー様の力があってのものだと思っています」

―2012年から南関東ではトップを続けています
「1つ1つの積み重ねだと思います。オーナーも応えてくれますし、その繰り返しです」

―厩舎スタッフとみんなで集まって話をする機会は多いのでしょうか?
「ほとんどそういった話はしないですね。人前で話すのも苦手な方なので、厩務員と大事な話をする時は1対1です」

―昨年印象に残っているレースはありますか?
「暮れのシンデレレラマイルですね。反省も含め、忘れられないレースとなりました」

―現在、期待の馬は?
「すべての馬に今以上に勝ってもらいたい。これというのは決められないですね」

―昨年は145勝を挙げて、南関東での新記録も更新しました
「積み重ねてきた数字については?数字よりも反省の方が多く、まだまだ足りないことの方が多いというのが正直な気持ちです。地に足がついていないですし、5年後、10年後にここで結果を出していけるように頑張りたい。浦和競馬場に育ててもらったので、浦和競馬も良くしていきたい」

―最後に目標をお願いします
「年度代表馬もそうですが、今年こそは表彰されるような馬を出したいと思います」